干物ハニーと冷酷ダーリン


書き損じだらけだった報告書を仕上げ、再提出をした頃に、黒崎さんが奇跡的に編集部に戻ってきた。

もっとかかると思ったのに、早い帰還にびっくり。
それも、小脇に茶封筒を抱えていた。



「あの、黒崎さん。今日はいろいろとすみませんでした。ありがとうございます」



黒崎さんが落ち着いたのを見計らって声をかける。



『えっ?ああ、あの副店長の事ね。いーよいーよ大丈夫。気にしないで。あの人もしつこかったよねー』


「まぁはい。でも本当に助かりました」



『川本、すげぇ嫌そうな顔してたもんねぇ。俺もちょっとあのタイプは苦手だなぁ』



黒崎さんは、ポリポリとこめかみ部分を掻きながら、


普通、第三者がいる前で連絡先を渡すとかしないでしょ?

あーゆーのって、かなり自分に自信がある奴しかしないでしょ?

百戦錬磨的な?でも、受け取ってもらえなかったけど。ぷぷぷーって感じ。ざまぁって思ったね。



と、ディスり始めた。



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