干物ハニーと冷酷ダーリン
やばい、やばい、やばい。
なんで、なんで、なんで、
どうして、どうして、どうして。
何故、ここに奴がいる?
出版社の入り口先にある花壇に腰かけちゃって。退社する女性社員なんか二度見しちゃってるし。
黙っていれば、好青年。、、、青年って年ではないけど。
口を開けばナンパ野郎。
なのに、どうして奴は女性社員を無視する?
思い上がりたくはないけど、これが俗に言う待ち伏せというやつなのか?
いや、いや、いや、営業部に用事があるのかも。書店のスタッフが出版社に来るなんてそうはないけど、、、なら、何故入らない?
やっぱり、待ち伏せか?待ち伏せなのか!
これは危険だ。
来た道をそーと引き返す。
そりゃあ、忍者顔負けの忍び足で。
そして、エレベーターのボタンを連打。
編集部へと逃げ帰る。
あまり慌てふためき過ぎて、周りが見えていなかった。
編集部まで後少しって所で、誰かと衝突した。
あたしも痛い。けど、勢いのついていたあたしがぶつかったのだから、相手も痛い。
「す、すみません、大丈夫ですか?」
『……っい!ってーなぁ、、、てめぇは猪か』
はっ?
み、水城さん。
猪とは、失礼な奴だ。と思って顔を見れば水城さんだった。
よりによって水城さん、何で水城さん。
いや、水城さんで良かったのか?