干物ハニーと冷酷ダーリン
泣いてる、高橋さん。
そして号泣。
あれ?今何時だっけ?何でこんな時間に高橋さんが出版社にいるの?
いやいやいや、それ以前に何で泣いてんの?
黒崎さんが泣かせた?
けど、待てよ。
いくらなんでも黒崎さんは、女の子を泣かせるような事はしないか。なんてったって、号泣だし。
じゃあ、なんだ?
情報が少なすぎる。
バサッと掛け布団を蹴りあげて、ベッドから飛び起きる。
適当に、Tシャツと短パンに着替えて出版社まで走る。
走って、走って、走って。
こんな時に限って、タクシーが都合よく捕まらない。
これも持論ではあるが、アニメや漫画で都合よくいくものは、大抵現実世界では通用しない。
ピンチの場面で都合よく正義のヒーローは現れない。
財布を忘れて買い物に出掛けても、知り合いに出会って都合よく立て替えてもらえるなんて事もない。
なんて、理不尽な世界。
よって、あたしは走る。
出版社まで、全力で走る。
他力本願くそ食らえ。
訂正します。
誰があたしの為に酸素ボンベを持ってきてもらえないでしょうか。
やっぱり、時には他人を頼らないとダメな時ってあるよね。
ほら、だってあのかの有名な高校教師も言ってた。
人という字は…ってさ。
支えあわなきゃダメだよね。
他力本願、万歳。