干物ハニーと冷酷ダーリン
「はい。私、編集者になりたくてここに入ったんです。なので、あの……川本さんみたいな一人前の編集者になるまで辞めません」
何なの、この子。
もの凄く可愛いじゃないか。
「ホント?なら、良かった!」
『うん、うん。本当に良かったよねえ』
あまりの可愛さに思わず、抱きしめちゃう所で誰かが邪魔しやがった。
正体は分かりきってる。だからこそ憎い。
「………何なんですか、黒崎さん」
『いや、でも川本を編集者の憧れにするのはどうだろう?ねぇ、川本?そう思わない?』
「…えぇ、まぁそうですね。かと言ってそこのポジションを黒崎さんにだけは譲りたくないですけど」
『えっ?俺、これでも服編集長だよ』
「実力でなったとでも言いたいんですか?そんなのただの年の功ですよ。黒崎さんご自身でいくつだと思ってるんですか?周りを良く見てください。皆黒崎さんより年下ですよ」
『あっ、、、、。川本、機嫌悪い?うん。ごめんね。俺のせいだよね、こんな時間に呼び出しちゃって…』
さぁさぁ、お二人さん。ここは俺のおごりだ。
と、その後。
黒崎さんは壊れかけの自販機で飲み物を買ってくれた。
高橋さんは、謙虚に80円のジュースを選んだ。
そしてあたしは、160円の容量倍増600ミリリットルのお茶を選んだ。
しかし、大したダメージを与える事が出来なかった。
流石は副編集長。
ならばと、先程あたしが飲み干してしまった水城さん用のコーヒーもついでに買ってもらった。