干物ハニーと冷酷ダーリン
やだ。何、俺めちゃくちゃ頑張りすぎたじゃん。
しかも、川本いねぇし。
『ねぇねぇ、水城。川本戻った?』
『……直帰』
『そうなの?なら、俺も帰ろう…………って、水城も帰んの?』
いつもなら、この時間は余裕で仕事をしている水城が帰り支度をしている。
珍しい。
『ああ、帰る』
『ちょ、ちょっと待って!俺も』
沈んでる二人をそのままに、俺は慌てて先に行ってしまった水城を追いかける。
『なぁ、水城。ちょっと飲んでいかねぇ?』
『…は?何でお前と』
『いいじゃん、たまには。昔はよく行ってたじゃん』
さして乗り気ではない水城を捕まえて、よく二人で語り明かした馴染みの居酒屋に連れ込んだ。
『…で?何だよ』
お互いビールを頼み、一息ついたところで水城は、怪訝そうに俺を見た。