干物ハニーと冷酷ダーリン
あたしは、終電に乗って隣街へ帰る。
最後に相崎さんの言った言葉の意味を考えても答えが見つからなくて。
その言葉を残して去っていった相崎さんを追いかける事も出来なくて。
だけど、以前のようなモヤモヤとした気持ちはない。
そのまま、素直にその言葉を受け取っておこう。
そう思った。
アパートの最寄り駅に着き、帰路を歩く。
途中にコンビニの看板を見て、そう言えばまだご飯を食べてなかった事を思い出す。
自然と足はそちらに向かって歩き出す。
そして、ピタリと止めた。
何故か。
それは、窓越しに雑誌を読んでいた黒崎さんと目が合ってしまったからだ。
それも、凄い笑顔でこっち見てる。
それに加え、手なんか左右に振りだした。
「………黒崎さん、何してるんですか」
本当の所、スルーしたい気持ちがあったが腹の虫が盛大に鳴り出したので食料調達の為仕方なくコンビニへと入る。
『いやー、終電逃しちゃってさー。せっかく早く上がったのにまた出版社にお泊まりコースよ』
「そうですか。お疲れ様です。ではあたしはこれで、、、」
黒崎さんに捕まってはろくなことはない。
と、学習済みなあたしは足早にその場から去る。
パンコーナーでコッペパンを掴むとレジに向かった。