干物ハニーと冷酷ダーリン


そして、あたしの初恋。
ずっと憧れていた先輩に告白した。


"漫画みたいな恋愛したがる女は無理。ああして欲しいとかこうするといいとかダメ出しされそうだし"



だから、恋愛を辞めた。


編集者を目指すなら恋愛は出来ないと思った。

これから先も編集者として仕事が出来るなら、恋愛などしなくていいと思ったし、するつもりもなかった。


あたしは、少女漫画が好きだ。編集の仕事が好きだ。
それでいいとずっと思っていた。

そして、多分これからも。


だけど、もし。もしかしたら、そのトラウマがなくなったとしたら?

恋愛も仕事も両立できたとしたなら。
もっともっと楽しいんだろうなぁって。

心の何処かで、街中で見かけるカップルを見て、いいな。楽しそうだな。羨ましいな。ってずっと思っていたんだ。



『………上出来だ』



あたしの目の前で、腕を組み仁王立ちする水城さん。



無事に正解を導き出したのはいい。
だけど、あたしにはまだ伝えなければいけない事がある。



「でも、あたし。まだ無理です」



『は?』


「いや。あの、水城さんのお気持ちは嬉しいです。何であたし?とか何処がいいの?とか思っちゃってますけど、水城さんがいいならいいんです」



『それで?』



「だけど、今まで水城さんを恋愛対象とか、、、水城さんだけじゃないですけど、見てなくて。いえ、水城さんが悪いってわけではないんですけど、、、、」




どうにも、こうにも頭の中がごちゃごちゃで今一伝わっていないようで、自分でも何を言っているのか分からなくて。




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