干物ハニーと冷酷ダーリン
『いい。ゆっくりでいい。お前の思ってる事、言ってみろ』
少しばかり涙目になってしまったあたしの頭にポンッと手を乗せ優しく撫で下ろす。
「あたしは、まだ水城さんが好きとか分からなくて。だけど、水城さんとなら恋愛が出来るかもって。時々、怖いですけど、あたしがあたしのままでいられるのは水城さんの前だけかもって」
『ああ、それから?』
「そう思うと、もしあたしがここで水城さんをフッたとして水城さんが誰か違う人の彼氏になると思うと、嫌だなぁって思ってみたりして、、、」
自分の気持ちがはっきりしないくせに、とんだ我が儘だ。
好きかは分からない。
けど水城さんを誰かに渡したくない。
なら、取り敢えず付き合っちゃえば?って自分でも思うけど、
いざ、付き合ってみて、失礼だけど水城さんとキス出来るか?セックス出来るか?と考えてみると首を捻ってしまう。
あたし、最低だ。
『なるほどな。なら、納得するまで考えればいい』
「、、、、えっ?」
『返事はそれからでもいいんだ』
「水城さんは、それでいいんですか?」
『なんせ惚れた女が川本だからな。それくらいどうって事ねぇよ』
あたしの身勝手な我が儘に、水城さんはそっと小さく笑った。
「あの!最後に一つだけいいですか?」
まだ、何かあんのかよ?
と、苦笑いする水城さんに、
あたしは、少女漫画の編集者なので恋愛展開を先読みして
しまうかもしれません。
と、トラウマを暴露すると水城さんは小馬鹿にするように鼻で笑い
俺を誰だと思ってんだ。少女漫画の編集長だ。
と、挑発的な笑みを浮かべた。