干物ハニーと冷酷ダーリン
『で?お前、明日は久留米先生の原稿あがんのか?』
「………は?」
『それとこれとは別だ。仕事に私情は持ち込まない。持ち込んでいいのは原稿のみだ!余裕がないならさっさと帰って数時間後の追い込みに備えろ』
「あ、はい、、、」
流石は敏腕鬼編集長さま。
きっちり見ていらっしゃる。
水城さんが、タクシーを呼んでくれてあたしはアパートに戻る。
走り回ってかいた汗をシャワーで洗い流しアラームをセットしてベッドに潜り込んだ。
もう数時間後にはいつも通りの日常が始まる。
ただ、変わったのはあたしと水城さんの距離。
黒崎さんはきっとニヤニヤしながら編集部で待ち構えているだろう。
その時は、正直に話してあげよう。
水城さんを恋愛対象として見てみる事から始めました、と。
どんな反応をするだろうか。
何も変わらないと思っていた日常に、確かな変化。
その日、あたしは胸が高鳴りっぱなして、なかなか寝付く事が出来なかった。