干物ハニーと冷酷ダーリン


それにしても、酷い顔だ。


手を荒い、ふと目の前の鏡を見ると冴えないあたしの顔が映る。


化粧っ気も女っ気もない、くたびれた顔のあたし。

無造作に束ねただけのロングな髪。

目の下には消えない隈。

少し乾いた唇。



イケテる女子のように、ふと微笑んでみる。


即やめた。


無理無理無理。
微塵も可愛くねぇ。



バシャバシャと豪快に顔を洗う。

あたしには、こっちの方が似合ってる。




ハンカチで顔を拭きながら、休憩スペースの自販機でカフェオレを買いソファーにどっぷり座る。



はぁー。疲れた。

これは今日も帰れそうにない。

ご飯を買いに行くのも面倒だなぁ。



体の力を抜き、ふんぞり返りながらチビチビとカフェオレを飲んでるとゴミでも見るような表情をしている水城さんと目があった。




「…………お疲れ様です」



そっと、バレないように体に力をいれて姿勢を正す。

が、失敗。

足が滑ってもっとだらしなくなった。


のをばっちり目撃された。



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