干物ハニーと冷酷ダーリン


大半は水浸しになった為、持ち出せたものはテーブルとクローゼットに入っていた服くらいだった。


乾かせばまだ使えるんじゃない?なんて思っていたものは水城さんの、


『あ?んなの捨てろ!どうせ持ってって乾かしたところで使わねぇだろ』


『あぁ?それは明らかにゴミだろ。それ一度でも使った事あったか?ねぇだろ、捨てろ』



で、ほとんどが処分となった。



鍵を大家さんに返し、そのまま黒崎さんを連れて水城さんキャッスルへ運び入れてもらって力仕事を終えやっと一段落。



「いやー、黒崎さん本当にありがとうございました」


『いやいや、むしろ二人の愛の巣を拝めて嬉しいよ。また来てもいい?』


『来るな、二度といれねぇから』




今まで滅多に水城さんキャッスルに入れてもらえなかったらしい黒崎さんは、今日入れてもらえた事が余程嬉しかったらしく、ここぞとばかりに家中を物色して帰って行った。



午後イチの挨拶の時間も迫ってきていて、ご飯を食べる暇もなくお互いに汗を洗い流し慌ただしく家を出た。


あれ?あたし、朝も食べてないよ?

もう空腹すぎて気持ち悪いのですが?







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