干物ハニーと冷酷ダーリン
「お腹、空きました」
なので、ストレートに訴えてみた。
『知ってる』
把握済みらしい。
「サービスエリア寄りますよね?」
『お前の腹がうるせぇからな。だからそれまで静かにしてろ』
「………承知しました」
とは言っていたものの、一つ目のサービスエリアを華麗にスルーした水城さんを蹴飛ばしたくなった。
『次だ』
なら、その手前で言って欲しかった。
ぬか喜びさせやがって、、、腹の虫もブーイングの嵐だ!
あまりに限界すぎて、白目になりつつあるタイミングで無事に次のサービスエリアにたどり着いた。
「は?ちょ、水城さん。こっちですよ、こっち!」
車を降りて店内とは別の方向に歩いて行く水城さん。
『煙草。飲み物だけ買ってきて』
と、ひょいっと財布を投げてくる。
「何か食べないんですか?」
ナイスキャッチなあたし。
『いらない』
なら、財布を放り出さんで下さいよ。
スタスタ喫煙所に歩いて行く水城さんを目で追いつつ、あたしは小走りで食料の確保へ向かった。