干物ハニーと冷酷ダーリン


毎度の如く、短時間で入浴をすまししっかり髪を乾かしてから寝室に向かうとすでに水城さんは寝息をたてていた。


それもベッドの真ん中で。


この人、あたしが居る事を忘れてしまったのだろうか。

自分で一緒に寝ろと言っておきながらこれだよ。




水城さんのベッドはシングルではないので例え真ん中に寝ていたとしても場所がないわけではない。

空いているスペースに潜りこんで少しだけ水城さんの方に寄ったら距離を見誤って水城さんにぶつかった。



「あっ、、、すみません」



衝撃でうっすらと目をあけた水城さんは、すぐにまた目を閉じると身体を少しずらしてくれた。


相当疲れていたらしくものの数秒で眠りに入った水城さんを見てあたしも寝ようと目を閉じれば、目覚まし代わりのスマホがあっちの部屋に置きっぱなしになっている事に気が付いた。


けど、水城さんがいるから起こしてくれるだろうと勝手にアラーム係に任命して心置きなく眠りにつく事にした。



今日はあまりにもハードスケジュールすぎて、帰りの車の中で爆睡したにも関わらず、ものの数分で眠りこけた。


同棲生活一日目。

ワクワク感もドキドキ感も味わう事もなく、ただ単に明日の活力の為に睡眠を貪る。


これが編集者じゃなければまた違ったのかもしれない。
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