干物ハニーと冷酷ダーリン
《編集者》
それはいかなる時も原稿第一に、原稿の為にその身を捧げなければならない。
by黒崎。
何時間経ったのだろう。
暗闇の中、ガタガタと音が鳴りその音の中心でもぞもぞと動く人影。
これは怪奇現象でもなく、夢遊病でもない。
水城さんが、クローゼットの前で着替えているのである。
これは間違いなく呼び出しがあったのであろう。
その姿をぼんやりと眺めているだけの私。
普通なら、どうしたの?などと声をかけるのだろうがそれどころではない。
私は眠くてしかたがないのです。
誰からの呼び出しで、どんな状況なのか存じませんが、起こされないところをみると必要なのは水城さんであって私ではない。
少し、、、、いえ。
大分喜ばしい。
お疲れ様です、編集長様。
今、何時か知りませんがこんな時間からご苦労様でございます。
せめて、玄関で見送って差し上げたいのはやまやまですがちょっと無理そうです。
頑張って下さい。
と、心の中で見送ったつもりが次の瞬間、盛大に布団を剥ぎ取られた。