干物ハニーと冷酷ダーリン
「黒崎さん、やめましょう」
『そうだな、やめよう』
一気に現実世界に引き戻され、どっと疲れがこんばんわしてきた。
心なしか気持ち悪い。
右往左往し過ぎて三半規管がヤられたっぽい。
今日はもう帰ろう。
思えば、呼び出しをくらったあの時間からいるんだ。
おかしくなったって不思議ではない。
水城さんが居ないことに浮かれ過ぎた。
バチが当たる前に帰ろう。
帰ってお風呂に入って寝てしまおう。
コンサートを共に駆け抜けた黒崎さんを横目で見たら、デスクに項垂れたまま動かなくなっていた。
さらば相棒よ。
さようなら黒崎さん。
あたしは帰ります。
ホワイトボードのマグネットを退社にあわせ、出版社を出た。
あっ、、、、今日って水城さん帰ってくるのだろうか?