干物ハニーと冷酷ダーリン


「黒崎さん、やめましょう」


『そうだな、やめよう』



一気に現実世界に引き戻され、どっと疲れがこんばんわしてきた。


心なしか気持ち悪い。
右往左往し過ぎて三半規管がヤられたっぽい。





今日はもう帰ろう。

思えば、呼び出しをくらったあの時間からいるんだ。

おかしくなったって不思議ではない。


水城さんが居ないことに浮かれ過ぎた。
バチが当たる前に帰ろう。

帰ってお風呂に入って寝てしまおう。


コンサートを共に駆け抜けた黒崎さんを横目で見たら、デスクに項垂れたまま動かなくなっていた。


さらば相棒よ。

さようなら黒崎さん。


あたしは帰ります。



ホワイトボードのマグネットを退社にあわせ、出版社を出た。



あっ、、、、今日って水城さん帰ってくるのだろうか?





< 334 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop