干物ハニーと冷酷ダーリン

【水城side】



以前俺がまだ文芸編集に居た頃、担当した藤田登先生とは作家を引退しても度々連絡を取り合っていた。


しかし1週間ほど前に娘さんから藤田先生が体調を崩し入院していると連絡をもらった。


藤田先生は引退した後、娘さんの嫁ぎ先である宮城に引っ越している。



お見舞いに伺う日を前もって予定していた矢先に長谷川からとんでも無い事を聞かされたわけで、内心俺も焦っていた。



どうする。


朝イチで俺が制作会社に行くか、、、。

と、なると面会時間に間に合わないかもしれない。

藤田先生なら仕事を優先しなさいと言ってくれるだろうけど、俺にとっては先生も大切な人であって、どうしても後回しにはしたくない。


黒崎は行けるか?

いや、事と次第によっては無理か。

なら、川本か、、、。


行けるか?
いや、でもここは川本しかいないか。



長谷川と打ち合わせを終え、編集部に戻れば放心状態の2人がそこに居た。


この際、黒崎はどうでもいい。

先に川本をどうにかしないと。




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