干物ハニーと冷酷ダーリン
『は?お前、この状況で帰んのか!?』
さっさと帰り支度を始める俺に、長谷川は信じられないというような顔で見てきやがった。
『放っておけよ。じゃなきゃ相手してやれ。俺は帰る』
巻き込まれまいと、俺は2人を残しさっさと帰る。
後ろから長谷川は何か言っていたが知ったこっちゃない。
元はそっちがやらかしてくれたのが原因とばかりに無視してやった。
家に着いたのは20時半頃。
リビングの電気はついているが、物音が1つもしない。
靴があったし川本がいるのは確かだ。
廊下をぬけリビングに行くと、ソファーで川本は丸くなって寝ていた。
掛けていたであろうブランケットは下に落ちている。
『おい川本、寝るなら布団で寝ろ。風邪ひくぞ』
と、言ったところで起きるとは思っていない。
漫画のように抱きかかえて運べるわけでもない。
人ひとり。それも小柄とはいえ寝ている大人。
普通に考えて重いわ。
持つくらいなら出来る。
歩けと言われれば無理だ。
だから、起こすしかない。