干物ハニーと冷酷ダーリン

でもオープンキッチンだから振り返っていた水城さんにバッチリ見られてた。

へらりと笑っといたら、残念そうな顔された。

ちゃんと拭きます。ごめんなさい。



『これは何だ』


「んー?」



パソコンの画面はあたしが送った報告が映っていて備考欄の“水城さんが来れなかった理由”を指していた。



「ああ、藤堂さんに水城さんは?と聞かれたので自宅療養中と言っときました」


そこに書いてある通りです。はい。


『そう言うことじゃねぇ。何でこうなった』


「いや、だって。あからさまに不審そうに聞いてきたので、どうしても来れなかった理由として選んだのがこれしかなかったんですよ」



馬鹿正直に、編集長は出張ですなんて言ってみなさいよ。
うちよりよっぽど大事な出張なんですね。なんて言われたら目も当てられない。

只でさえ放置プレイ状態だったのに。


分かります?この心理戦。あの人絶対クセ者ですよ。



力説すれば、水城さんは“ああ、そう”と軽く流すもんだから腹いせにタプタプに入ったマグカップをパソコンに近付けたらガッツリ首を掴まれたのでそっと遠ざけた。



この男、非常にあぶねぇ。




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