干物ハニーと冷酷ダーリン

『、、、なに』


「すみません、何も」


『またやらかしたか』


「違います」



横になってるのに、こんなに威圧感があるのはどうしてだろう。

目も合わせてないのに、目を反らしそうになるのはどうしてだろう。


それに、最近あたしまだ何もやらかしてません。
またって言わないで欲しい。



背中を向けて寝ていることをいい事に、ここぞとばかりに口パクで「バーカ、バーカ」と口を動かしてたら、いきなり振り返ってきたもんだからめちゃくちゃ謝った。


背中に目でも付いてるのかよ。
妖怪みたい。怖い。


そう思った時に妖怪様が起き上がったもんだから、斜に構えたら鼻で嘲笑われた。



「どこ行くんですか?」


そのままフラフラっとベランダの窓を開けるから思わず聞いた。


『煙草』



ああ、煙草ね。

よかった。安眠妨害で『ここで寝ろ』とか言われるのかと思った。


ベランダに出て煙草を吸う水城さんの背中からは、ロンT1枚しか着ていないから身体のラインが浮き上がって妙に色っぽい。


華奢な方だと思っていたけど意外と広い背中に骨格を程よく隠すように筋肉が覆う。

肩甲骨とか背筋とか腰から骨盤にかけてのラインとか男ならではの後ろ姿に暫く見惚れていた。








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