干物ハニーと冷酷ダーリン


これまでに水城さんの歴代彼女の話とか聞いたことないけど、この背中に何人抱き着いたとか、あの腕で何人抱きしめられたとか変えられない過去にまで嫉妬してしまいそうになる。



あぁ、あたしちゃんと恋してるじゃないか。

1度は諦めた恋心が動き出す。


あんなに臆病になって逃げていたのに。

嫉妬心だけは一人前で。


分かってるんだ。本当は。
臆病なあたしに気を遣ってくれている事。
あたしのペースに歩幅を合わせてくれてる事。

それを知っていながらそれに甘えている自分自身。



そんな卑怯なあたしは、どの面で何を水城さんに言えるだろう。

自分勝手にも程がある。



あはは、、、。

と、自分で自分にあざ笑う。

なんてマヌケな奴。


水城さんを振り回すだけで、何が彼女。

あたし何も変われてない。
水城さんを彼氏だと言える努力もしてない。


何も、、、何もしてないのに1人で悲劇のヒロインを気取っちゃって馬鹿だ。

ヒロインですらないのに、水城さんに全て任せて何かあれば水城さんのせいにするつもり?

どこまで卑怯な奴なの。


一緒に居たいのなら合わせろ。
歩幅を合わせてもらうだけじゃなくて、あたしも水城さんに合わせる努力をしろ。

水城さんの気持ちと同じとこまで歩け歩け。

歩いて走って追いつけたら、水城さんに抱きしめてもらおう。



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