干物ハニーと冷酷ダーリン
駆け上がる
ベッドの上で布団を頭から被り縮こまっていたあたしはそれはもうキノコが生えそうなくらいで、煙草を吸い終えた水城さんが窓を閉めた音で我に返った。
『どうした』
布団を剥ぎ取られ、いざ水城さんの顔を見ると何だか気恥ずかしい。
煙草と外気の冷たい匂いが鼻をくすぶる。
こんなに近くに水城さんがいる。
過去はどうあれ、今はあたしが近くいる。
「あの、、、水城さん」
『ん?』
「あの、、、ですね、、、」
『うん』
「、、、好きです」
『うん』
「水城さんが、好きです」
今、水城さんがどんな顔をしているのか分からない。
依然としてあたしはまだ恥ずかしくて顔をあげられていない。
それだけじゃない。
何故かちょっとだけ涙も出てきた。
最後の方は声が震えてたかもしれない。
何でだ?
泣けてくる場面でもないのに。
情緒が不安すぎるにも程があるでしょあたし。
『何で泣いてる』
「、、、何ででしょう?」
やっぱりバレてたみたいで、頬に触れた水城さんの手によって誘導されたあたしの視線の先には水城さんの瞳をばっちり捉えていた。