干物ハニーと冷酷ダーリン

こぼれ落ちる涙をただただ何も言わず払っていく水城さんを見てまた涙。


自分自身、本当に何で泣いているのか分からない。

きっと、あれだ。生理がもうすぐだからだ。
女性特有なあれよね、あれ。



ポロポロと泣き続け、どのくらい経っただろうか。

優しかった水城さんの拭ってくれていた指がとうとう目頭を押さえにかかってきた。

物理的に涙を封じようとしてきてる。

非常に危ない。あたしの眼球。



危険を察知したあたしの涙腺はもの分かりが良過ぎるくらいで、ピタッと涙の分泌を止めてみせた。
が、中途半端で排出出来なかった涙が戻ってきて喉を鳴らし飲み込んだ。



『・・・終わったか』


「・・・はい」


『水飲むか』


「はい」


『泣きすぎ』


「・・・すみません」



ベッドから立ち上がりキッチンへと向かう水城さんにあたしも付いて歩く。


『先に顔洗ってこい』


まるで園児のように背中に突っ付いていたあたしに半ば呆れたような口調で言う水城さん。


黙ってシンクで洗おうとすれば、首根っこ掴まれ洗面所でやれと怒られた。

こと細かい男である。

顔なんてどこで洗っても同じじゃんか。







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