干物ハニーと冷酷ダーリン
「あたし、何もかもが中途半端で曖昧で。だけどヤキモチだけはしっかりあって」
ポツポツと話し出すあたしに水城さんは黙って聞いててくれて。
「あたし、ズルいんです。ただ自分が傷付きたくないだけの卑怯者です。水城さんの気持ちを疑って勝手に不安になって、、、」
時折、握ってくれている手をトントンと。
何も言わないけど、それだけで安心できて。
「好きなんです。自覚するよりもっと前から水城さんの事。でもあたしは卑怯者だからずっと傷付かない逃げ道ばかり探してて」
グイッと腕を引かれて素直に身体が流れた方に身を任せれば、しっかり水城さんが抱き止めてくれてこんなにも落ち着く。
「あたし、本当の彼女になれますか?こんなあたしでも好きでいてくれますか?」
曖昧な返事から始まったこの恋。
好きなんだと思います。
から、
好きです。と心がそう言ってる。
曖昧な恋心から確かな恋心へ。
誰かの物語でもなく自分の物語。
自分で造りあげていく編集の効かない物語。
漫画のヒロインでもヒーローでもなくて、
あたしと水城さんの誰の手にも編集できないこのストーリーをあたしは描きたい。