干物ハニーと冷酷ダーリン
「あのですね、前田先生!そろそろ上げてもらわないと困るんですよ!」
『あ、あのー、川本さん……』
「だからですね!泣き言ばかり言わないで下さいよ!泣きたいのはこっちなんです!」
まさに今、電話口で漫画家と編集者の攻防が繰り広げられている。
傍らでは、新人富井が落ち着かない様子で川本をなだめながらもそれを見ている。
今にも泣きそうなのは、川本より富井の方だった。
「いいですか!今日中にネームあげて下さい!……はい?ならホストクラブにでも行けばよろしいかと…」
前田先生は、専ら面食いでアシスタントから編集者まで男前を要求してくる。
川本が担当の時は、女には用はない!と担当を変えて欲しいと直談判しにきたくらいだ。
流石にそれには俺もあきれ果てた。