干物ハニーと冷酷ダーリン
長くこの仕事をしているならまだしも、新人はまずこの問題にぶち当たる。
そうでなくても、編集の際に女受けのするストーリー展開を作り上げていかなくてはならない為、川本に意見を聞いたりする。
そうなると、川本の負担が多くなってしまう。
『……そろそろ、編集者増やしてもらうか』
「…!!水城さん!それ本当ですか?もちろん女の子ですよね?増やすなら女の子お願いします!」
どこまで地獄耳なんだよ、こいつ。
何故、その距離で聞こえた?
『えー、いいの川本?せっかくの逆ハーレムだったのに女の子入ったら妬いちゃうんじゃない?』
「………黒崎さん、寝言は寝てから言って下さい。あたし、冗談に付き合ってるほど暇じゃないので」
『えー、酷いなぁ。もしそうなっても俺はいつまでも川本派だから安心してね!』
「水城さん!席替えを希望します」
『えっ、何で何で?俺たち編集長の元、ワンツーで頑張ってきたじゃん!デスクだって隣同士でやってきたじゃん』
「…水城さん!あたし有給残ってますよね?明日から休んでいいですか?」
『あっ、俺も残ってるよー。旅行でも行っちゃう?』
「……水城さん!黒崎さん嫌です」
『ちょっ、それストレート過ぎ。照れ隠しな……………』
『お前らうるせぇーぞ!!いい加減にしろ!』
「……………」
『……………』
"水城が一番煩いよね"
"あっ、今ので三野さん起きましたよ"
聞こえてるぞ、そこのアホ共が。
後で覚えてろよ。