干物ハニーと冷酷ダーリン
『………はい。そうですよ』
カレーの香りが食欲を掻き立てる。
ここのカレーはどれを選んでもうまい。
『なら、知ってるかな?川本かなでちゃん。君も少女漫画の編集部でしょ?』
さて、食べようかとスプーンを手に取った時、後藤さんの言葉で1度手を止めた。
『……後藤さん、川本と知り合いで?』
『ああ、うん。かなでちゃんはうちの常連さんなんだ。家も近所みたいだし、よく来てくれるんだ』
出版社から近くとも遠くともないこのカフェ。
そうだった。川本の家はこの近くだったかも知れない。
いつぞやのコンビニに遭遇したのは、記憶に新しい。
『かなでちゃん、びっくりするだろうな』
『………?どういう、、、』
どういう事ですか?といいかけたその時、ドアベルがカラーンとなった。