干物ハニーと冷酷ダーリン
川本は仮にも女だ。
いや、女だろ?女ともあろう者がその格好で外に出るのは……………ありなのか?
いやいやいや、無しだろ。
男でも身なりは気にするわ。
『お前、それは……入稿日前よりも酷いぞ』
編集部は、仕事柄会社勤めとはいえ基本私服なのだが入稿日の週は皆服も荒れてきている事も珍しくはない。
だが、今の川本はそれ以上に荒れていると言うか…手抜きだ。
「水城さん、今日は仕事休みなんですよ?服とか髪とかどうでもいいと言いますか……」
ああ、そう。女とはそういうものなのか。
今までに出会った女は、そんな事はなかった気がするし、漫画編集をしてても少なくともそんなヒロインはいなかった。
いや、だがしかし。
『服のセンスまでとやかく言う義理もないが、せめて寝癖だけでも直したらどうだ?』
どう寝たらそんな頭になるんだ?
「水城さんって、口煩いタイプですねぇ。女は常に美しく上品であれ!って求める人ですか?」
後藤さんに買ってきた物を渡して、俺の隣にどっこいしょっと腰を下ろす。