干物ハニーと冷酷ダーリン
『水城くん、休日のかなでちゃんに会うのは初めて?』
『…ええ、まぁ』
一段落した後藤さんがそっと小声で話始める。
『びっくりでしょ?ギャップが大きすぎて。かえでちゃん、俗にいう干物女なんだ』
干物女。
そのワードは知っている。
1度そのキャラ設定をしているヒロインをテーマに描いていた先生を担当していた事がある。
漫画の中の世界だけだと思って、少しオーバーぎみにネーム編集していたが、現実にもそれに負けず劣らずの奴がここにいた。
『見事な干物女っぷりですね』
『でも、またそこが可愛いでしょ?ついつい世話を焼きたくなっちゃわない?まるで、娘を育ててる気持ちになるよ』
『はぁ。俺は胃痛がしますけど』
俺の下で6年も編集者としてやっている川本は、普通の女ではないと薄々気付いていたが、そのしわ寄せがこっちにあったとは思いもしなかった。
等の本人は、何も気にせずにいるのだからこれはこれでいいのかも知れない。
それに、仕事はしっかりしてるわけだし、俺が口を出す事でもないだろう。