干物ハニーと冷酷ダーリン


『水城くん、休日のかなでちゃんに会うのは初めて?』


『…ええ、まぁ』



一段落した後藤さんがそっと小声で話始める。



『びっくりでしょ?ギャップが大きすぎて。かえでちゃん、俗にいう干物女なんだ』



干物女。

そのワードは知っている。

1度そのキャラ設定をしているヒロインをテーマに描いていた先生を担当していた事がある。


漫画の中の世界だけだと思って、少しオーバーぎみにネーム編集していたが、現実にもそれに負けず劣らずの奴がここにいた。






『見事な干物女っぷりですね』



『でも、またそこが可愛いでしょ?ついつい世話を焼きたくなっちゃわない?まるで、娘を育ててる気持ちになるよ』


『はぁ。俺は胃痛がしますけど』




俺の下で6年も編集者としてやっている川本は、普通の女ではないと薄々気付いていたが、そのしわ寄せがこっちにあったとは思いもしなかった。



等の本人は、何も気にせずにいるのだからこれはこれでいいのかも知れない。



それに、仕事はしっかりしてるわけだし、俺が口を出す事でもないだろう。





< 99 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop