女嫌いと男性恐怖症
「なら晶のとこに少しの間、住んだらいい」
遥は直樹の声に怯え、晶の服をそっとつまんで陰に隠れた。
直樹の言っている意味を理解した晶は、振り返って反論する。
「な、何を勝手に言ってんだ」
晶は遥がつかんだ服ごと振り払い、直樹を睨みつける。
こんなに近くで低い声を出しても、晶の声には遥は平気なようだった。
振り払われた手だけを、ショックな様子で見つめるだけだ。
「ちょっと。ちょっと。直樹も待って。それに晶くんも、そんなに近くにいて大丈夫なのね?」
陽菜の質問に遥はコクンとうなずき、晶も「あぁ」と返事をした。
「遥ちゃん23歳よ」
ゲッと思って下を見ると、澄んだ瞳と目が合った。