女嫌いと男性恐怖症
晶は読みかけだった新聞を持ってくると、上下を確認してダイニングで広げた。
遥から、姿を隠すように。
「おいしい、です」
新聞の向こう側の驚いた声に、こっそり微笑んだ。
「アキは、食べないんですか」
「俺はいい。そこまで甘いのは、得意じゃない。昼は適当に食べたしな」
カタンとフォークが置かれた音に、ったく本当に世話がかかるやつだと、新聞を傍らに置いた。
どうせ読んでもいなかった。
沸かしておいたお湯で、新しくコーヒーを淹れるとまた席について、遥の前で飲み始めた。
近くにいないと食べない気はしていたが、見られてても食べにくいだろうという晶なりの配慮だった。
やはり、遥は安心したように食べ始めた。
「おばあちゃんは、優しい人でした。アキは少し、おばあちゃんに似ています」
おいおい。俺はじいさんか、ばあさんなのかと苦々しく思うと、それだから平気なのかと合点がいった。