女嫌いと男性恐怖症
第16話 眠れない

 夜。ダイニングで仕事に没頭している晶の近くで、遥は座っていた。

 どこかに行ってしまわないか、監視されているような嫌な気分だったが、不安定なのかもしれないと大目にみることにした。

 12時をまわる時計を確認し、「子どもは寝た方がいい」と、遥の頭をグリグリした。

 少し不満な顔に変わった遥を見て、フッと笑った。

「子どもじゃなくても、寝た方がいい。もう部屋に行けよ」

「アキは、寝ないんですか?」

 もっとやっておきたい仕事があったが、晶がここで起きていては眠れないのかもしれない。

 仕方なく「じゃ俺も寝よう」と席を立った。

 部屋の前までついてくる遥に、うんざりした顔を向ける。

「お前の部屋はあっちだろ?」

 下を向いたまま、何も返事をしない。

 こいつ俺のこと、本当に男と思ってないんだな。
 今更ながらに思い知らされる。

 まぁ俺としてもクソガキだが。
 冷めた視線に下を向いていた顔が上げられて、潤んだ瞳と目があった。
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