女嫌いと男性恐怖症
「ハルが……。俺が、ばあさんみたいに、どこかへ消えてしまわないかって」
「ハッ」
笑いかけた声が、電話の向こう側で止まった。
「ハハッ。笑えるのは俺もだ。でもそれは、よくないんじゃないかと思ってな」
前に心を蝕んだ時とは、違う心持ちだったが、遥との関係性が危ういものなのではないかと不安を感じた。
「それは、お……」
男と女なんて、そんなもんだろ。
と、直樹は言いかけて、それを言ってしまった方が晶にはまずいことを思い出す。
男と女とは、思っていないんだった。
こいつ。
「なんだよ」
「いや、お前と遥ちゃんに、信頼関係ができている証だろ? 共依存なんて言葉にしようと思ったら、なんだってそうだと思えるだろうが」
そうなのだろうか。
信頼、関係。