女嫌いと男性恐怖症
帰り道。
よろめいた沙織が、晶の腕をつかんだ。
晶は反射的に、彼女を振り払うように彼女から距離を取った。
「ご、ごめんなさい。シャイな方なのに」
愛想がないのは、シャイだからと思っているらしかった。
都合のいい頭をしてやがる。
苦々しく思うと、振り払った腕を見た。
そして昨日は、遥の腕は振り払わなかったことを思い出す。
それどころか、抱き寄せたことも。
「晶さん。何かいいことが、おありですか? 表情が、いつもより穏やかですね」
その言葉に、吐き気を感じるほどに嫌な気分になる。
「もう遅くなりますよ。失礼します。送れなくて申し訳ない」
それだけ言うと、足早に沙織の元から離れた。
一刻も早く、一人になりたかった。