女嫌いと男性恐怖症
第18話 誤解
躊躇しながら開けたドアの向こうから、ハァーッハァーッと激しい呼吸が聞こえた。
急いで中に入ると、リビングで遥が紙袋を持って苦しそうに呼吸をしていた。
「大丈夫か!?」
急いで駆けつけて、伸ばした手が振り払われた。
え。
固まっていると、どうにか呼吸がおさまってきた遥がこちらを見た。
その瞳には、嫌悪感が浮かんでいるように思えて晶は戸惑う。
晶の手を振り払った手の甲には、ブツブツと虫に刺されたような赤い小さな膨らみができ始めていた。
「どうしたんだ。ハル」
遥は、汚らわしいものを見るような目を向けた。
「汚い手で触らないで。アキは、アキだけは違うと思っていたのに」
いつもとは違う口調の遥は、嫌なものを見るような目を向ける。
「何を、言ってるんだ」
「男の人なんて、みんな同じなんだ。男の人なんて、みんなそういうことしか考えてない」
絞り出したような声と、軽蔑した視線を向けられた。
その瞳は、母親が去っていく時に晶に向けたものと同じだった。