女嫌いと男性恐怖症
つらそうな遥にどうすることもできない晶は、気づいたら直樹に電話していたらしかった。
その記憶さえ曖昧で、陽菜が遥を連れ出してくれた。
「今日は晶くんと、ホテルにでも泊まってね」
そう言い残し、陽菜は自分の家に遥を連れ帰るようだった。
残された男二人。
晶はうなだれて、ソファに座っていた。
こいつら、どうしたっていうんだ。
さすがに直樹も、今の状況を面白がれるほど心、に血が通っていないわけではなかった。
それでも、明るく晶に声をかける。
「ここにいても仕方ないだろ? 久々に飲みに行こうぜ。ホテルの部屋で飲んだっていい」
無理矢理にマンションから引きずり出すと、泊まれそうなホテルを探した。
結局、どこも空いてなくて、事務所に来ていた。
応接セットのソファに、二人で腰をおろす。
「懐かしな。繁忙期には、よくここで寝泊まりしたもんだ」
明るく言っても、晶からは無反応だった。
「まぁ飲めよ」とビールを渡す。
無言のまま飲み始めた晶は、突然起こった出来事を、直樹にポツリポツリと説明し出した。