女嫌いと男性恐怖症

「アキは考え過ぎなんだよ。勉強し過ぎで頭でっかちだな。酔った勢いとかで、自分の気持ち言っちまえばいいのさ」

「自分の気持ちってなんだよ」

 ハルのこと小動物みたいには、かわいいと思ってるとか、抱きしめても嫌じゃなかったとかか?

 嫌じゃないどころか。
 だから!
 それが、あいつは嫌なんじゃないか。

 酔っ払って、思考がおかしくなっているのが分かる。
 グルグルまわる頭は懐いた小動物のような笑顔を向ける遥と、蔑んだ瞳を向けた遥が、交互に浮かんでぐちゃぐちゃになる。

 向かいのソファには、晶に付き合って何本も空けた酒に飲まれて眠る、直樹の姿があった。

「アキはよぉ。酔うと素直になってよぉ。かわいいんだぜぇ」

 酔って寝ぼけている直樹が、よく分からないことを口走る。

 かわいいとか言うなよ。

 そんな今はどうでもいいことが、胸にズキッとした。

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