女嫌いと男性恐怖症

 起き上がると頭痛がした。
 ひどい二日酔いだ。

 二日酔いでも、慣れたリビングのドアは目をつぶっても開けられる。
 朦朧とした意識のまま、部屋からリビングへと移動した。

 リビングに行くと人の気配がして、どんだけ酒が残ってんだよ。
 と、どかっと乱暴にソファに座った。

「帰ってたんですね」

 小さな声に驚き、そちらを見ると遥がそこにいた。
 幻影なのかと疑うが、さすがにそこまで酔ってないよなと普通に返事をした。

「あぁ。直樹と一緒に寝てたまるか。すげーいびきなんだ」

 もっと気の利いた、何かあるだろ。
 そう思っても、二日酔いの頭は正常に働いてくれない。

「玄関に靴もなかったし、陽菜さんがホテルに泊まってるだろうって」

 靴……。
 ハッとして足元を見ると、履いたままだった。

「クソッ。事務所と混同してた。土足で家に上がるなんて」
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