女嫌いと男性恐怖症
第19話 嘘
気がつくと、眠っていたらしく体中が痛い。
頭痛は少しはよくなっていたが、ソファで変な体勢で寝ていたのだろう、体がバキバキいいそうだった。
ふとテーブルに目をやると、何か置かれていて、その下にメモがあった。
『二日酔いの時、おばあちゃんがアロエヨーグルトをよく食べてました』
二日酔いのばあさんって。
どんだけファンキーなばあさんと、暮らしてたんだ。
フッと笑みをこぼして、ヨーグルトをあけた。
口に含むとさっぱりとした味が、二日酔いの体に心地よかった。
二日酔いの晶を心配して、わざわざこのためにもう一度ここに来たのか。
拒否した今でさえも、遥らしい気遣いに胸が痛くなった。
そういえば「ありがとう」と言えずに終わっちまったな。
直樹に言われた「ありがとうって言えよ」を苦々しく思い出す。
言えば、良かったな。
でも、今さら思っても手遅れだった。