女嫌いと男性恐怖症

「アキは、その、本当は直樹さんが、好きなんですよね?」

 はぁ〜? と、思わず声が出そうなのを抑えた。

 直樹のヤロー。
 そこまでして、俺を笑い者にしたいのか。

「だから昨日来られた女性の方は、お母さんの紹介っていう断りにくい理由もあるけど、世間を欺くためにって」

 どこまでだ。
 俺はどこまで、堕ちていくんだ。

「でも直樹さんには、陽菜さんがおられるので清い関係だからと」

 はぁ。深いため息をつくと、なんと言えばいいのか分からなかった。

 遥は「すみません。アキの話を勝手に聞いて。しかもこんな言いにくい話」と、申し訳なさそうにしている。

 そんなこと、どうでも良かった。
 どうせ作り話だ。

「それで直樹さんに「遥ちゃんも世間を欺くためにアキと暮らしてやってくれ」と、言われたんです」

 それで、素直に戻ってきたのか。
 ここまでの話を信じるか? 普通。

 まぁ女に興味なければ、そっちだと思われても仕方ないのか。

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