女嫌いと男性恐怖症
本当は遥だって、全てが直樹の優しい嘘だと分かっていた。
女嫌いは本当だけど、男が好きだとは思っていなかった。
陽菜に話を聞いて、女の人との関係が自分が思い描いていたものとは、違っていたことを知った。
そしてかなりの女嫌いなのも、改めて聞き再確認した。
それでも大騒ぎして出てきた手前、あのままではマンションには戻れなかった。
荷物を取りに来た時も、晶は出て行く遥を止めなかった。
それなのにノコノコと戻れるほど、図々しくなれない。
そもそも、迷惑をかけているのに。
そんな遥に、直樹は突拍子もない嘘で戻らないといけない状況にしてくれたのだ。
それは、痛いほど遥に伝わっていた。
「でも。本当にアキと直樹さんって、お似合いかも」
フフッと笑うと、晩ご飯の準備にキッチンへ向かった。