女嫌いと男性恐怖症
第20話 正当防衛
陽菜は直樹と二人、帰っていった遥の話をしていた。
「ねぇ。遥ちゃん。晶くんに、あんなに拒否反応が出たのって」
晶くんのこと、好きなんじゃないかしら。
という言葉を、言っていいのか分からなかった。
そうなって欲しいのは、陽菜自身の願望なだけの気がしていた。
でも、他の女の人と出かけて帰りが遅かったから、よからぬ想像をしてしまったんじゃ。
その反応が人よりも、過剰に出てしまっただけで。
隣の直樹は、楽しそうに話す。
「アキだってそうだろ? 俺が教えた嘘に文句を言ってこないところを見ると、そこまでしても一緒にいたいんだ。」
クククッと愉快そうに笑う。
「笑いごとじゃないわよ。大丈夫かしら。あの二人」
「いいじゃないか。お互いに自分の気持ちにも、相手の気持ちにも気づいていない。その方が、面倒なものをかかえてる二人にはお似合いさ」
楽しそうな直樹に、やれやれ晶くんもこんな親友を持って大変だわ。と、可哀想に思えた。