女嫌いと男性恐怖症
第21話 再びの騒動
またソファで、眠ってしまったらしい。
カチャカチャと食器を触っている音に、目を覚ました。
もう、朝か。
体には毛布がかかっていて、あのあと様子を見に来たんだな。
と、嬉しいような複雑な気持ちになる。
「起きました? 顔を洗った方がいいですよ」
遥にかけられた言葉に、のそのそと洗面台へ向かった。
何日分の寝不足だ。ちくしょう。
目を覚ますために、冷たい水で顔を洗う。
さっぱりとして幾分、目が覚めた気がした。
顔を上げ、鏡を見て絶句する。
「おい! ハル! ハルだろ。ハルしかいない」
憤慨する晶が洗面台から現れると、その姿を見て遥はプッと吹き出した。
頭には、かわいいリボンが至る所に結ばれていたのだ。
それなのに「私じゃないです」と、遥はまた素知らぬ顔で、朝食の準備に戻ってしまった。
この家には、俺とハルしかいない。
それとも、小人がきてやったとでも言いたいのか!
「とにかく外してくれ。今すぐにだ」
動くたび、喋るたびに、結んだ髪とリボンがピョンピョンと揺れる。
こんな女の気持ち悪いもの、一秒たりともつけていたくない。