女嫌いと男性恐怖症

 晶が心の中で悪態をついていると、インターホンの音が響いた。

 なんでこんな時に限って!

「どうせ直樹だろ。今日は帰れとだけ言って、インターホンを切ってくれ」

 遥は対応しに行くとすぐに戻って、また髪の毛からリボンや髪飾りを外し始めた。

 こんな頭も、こんなことをされているところも、直樹に見られてたまるか。

「おはよう。アキ。なかなかの見ものだな」

 直樹の声がして、愕然とする。

 顔を上げて直樹の顔を拝むのさえ、嫌な気分でいると、頭の上から声が降ってきた。

「せっかく来ていただいたのに、追い返せません」

 当たり前のことを言うように、遥は平然と言った。

 その声には、棘があるように感じた。

「なんだ。喧嘩中か? そうは見えないけどな。まぁ普通通りみたいで良かった。心配で寄っただけだ。俺は仕事に行くわ」

 晶が声を何も発する間も無く、直樹は出て行ってしまった。
 ものすごく面白いものを見つけた。という声で話し終えてから。

 普通通りって、これがか?
 ふざけるな。

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