女嫌いと男性恐怖症

「何故、こんなことしたんだ」

 釈然としない晶は、取ってもらいながら疑問を口にした。

「何故って」

 遥は言いたい気持ちはあったが、言えずに黙る。

 そりゃ私が勘違いして、ひどい態度を取ったのがいけないんだけど。

 でもやっぱり、前以上に距離を感じるのは寂しい。
 そう思うのは、自分勝手なのかな。

 無言のまま髪を触る遥に、晶は晶で、髪をいじるって男がどれだけダメか分かってないだろ。こいつ。

 と、頭をグルグルさせていた。

 首すじをそっと撫でられるように触られて、ぞくっとする。

 これも仕返しと言いたいのかと、忌々しく思っていると、何かが肩にもたれかかってきた。

 な、何を。

 一瞬、動揺する晶は何か様子がおかしいことに気づいて、もたれかかってきている遥を支えた。

「どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」

 腕の中に収まった遥は、顔が青ざめているようだった。
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