女嫌いと男性恐怖症

 また記憶が曖昧になる羽目になった晶は、陽菜を部屋にあげていた。
 直樹に電話して、陽菜に来てもらっていたのだ。

 陽菜はあの騒動の時でさえ玄関までしか上がらなかったし、遥が荷物を取りに行った時も心配でついては来たものの、マンションの下で待っていた。

 でも今回はどうにも動揺する晶に、部屋に上がらせてもらうことにしたのだ。

 ソファで横になる遥から話を聞いて「生理ね。なるほどそれで」と晶の動揺の意味が分かった。

 ダイニングで待つ晶に、「痛み止めの薬ないかしら? えっと頭痛薬ね」と、頼むと力なく立ち上がった晶がゴソゴソと薬を持ってきて渡す。

 晶くん大丈夫かしら。
 ここ二、三日ですっかり老け込んだみたいに、疲れてるけど。

 仕方ないわね。
 あの晶くんが、この騒動じゃ。

 陽菜は晶の身を案じながらも、声をかけずに遥の元へ戻った。
< 144 / 291 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop