女嫌いと男性恐怖症

 目を覚ますと、晶はいなかった。

 なんだか暑くて体を見ると、毛布が何重にもかけてある。

「何これ」

 驚いた声に、晶がダイニングの方から顔をのぞかせた。

「あぁ。起きたか。それは、その。温めた方がいいらしいぞ。その、そういう時は」

 言いにくそうに言う晶に、遥は目を丸くする。
 その顔に、弁解するように付け加えた。

「ネット情報だ。信憑性は定かじゃないが」

「調べた、んですか?」

 アキが、生理痛のことを?

 ますます驚いて、目がこれ以上丸くならなくて悲鳴をあげそうだ。

「なんだ。誰かに聞けとでもいうのか? そんなの出来るわけないだろ」

 バツが悪そうに顔を背けた晶に、ハハハッと笑う。

 どんな顔をして、調べたんだろう。
 女嫌いのアキが。

 ものすごくおかしかった。

「うるさい。笑うな」

 表情が見えないように、腕で顔を隠すように背けた顔は、赤い気がする。

 すごく似合わない晶に、笑えてしまってつい口からこぼれ落ちた。

「アキ可愛いです」

 しばしの沈黙の後に「ケンカ売ってるのか」と不機嫌な声がした。

 綺麗はOKになっても、可愛いはダメだったんだ。
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