女嫌いと男性恐怖症

 やってしまった。と、意気消沈する遥に、ため息が聞こえた。

「ったく。向こう向いて座れ。いや。向こう向いて寝ろ」

 遥の頭の中は疑問符だらけだったが、素直に従った。

 遥の姿を見て、晶は心の中で苦笑する。

 チビって便利だな。
 ソファで背もたれ側に向いて寝るなんて芸当、俺には無理だ。

 背もたれ側に向いて寝転ぶ姿は、なんだか滑稽で笑いを噛み殺して素知らぬ顔をする。

 可愛いなんて言ったことを、もっと反省してろ。

「ひゃ」

 腰をバシッとたたくと、遥は驚いた声を出した。

 その姿に、クククッと笑いが止められなかった。

「それ貼っておけば、毛布を巻いて歩かないで済む」

 言われて腰を触る遥の手に、ほわっと温かいものが触れた。
 カイロだった。
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