女嫌いと男性恐怖症

 なんで普通に、優しくしてくれないのかな。

 頭を撫でてくれた時は、ただただ優しかったのに。
 今は嬉しいのに、素直に喜べない。

 ムスッとした顔で、遥は立ち上がった。

「おぉ?」の声とともに、晶は一歩下がった。

 え? と、思って、また一歩近づくと、同じように一歩下がる。

 やっぱりさっきの頭を撫でてくれたのは、夢だったんだ!

 急速に納得がいくと、残念な気持ちになる。

 そりゃ、あんなにただ優しいだけのアキなんて、おかしいと思ったけど!

 何故か憤りを感じて、それをぶつけるように口を開く。

「そんな風に避けるんでしたら、また寝てる間にいたずらしますよ」

 遥の言葉に、晶は全然響いていない顔で答える。

「今日はリビングで寝るなんて、ヘマしない」

 その顔に、余計にムッとする。

「夜に忍び込んででも、いたずらしますから!」

 これには、さすがにギョッとした。

「鍵をつけてやる! 今すぐにだ」

 今度は晶の方が、憤慨した様子で部屋に行ってしまった。

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