女嫌いと男性恐怖症
晶は逃げ込んだ先の部屋で、ぼやく。
「危なかった」
ベッドに仰向けになって、天井を仰いだ。
ハルが、寝ぼけてて良かった。
遥が夢だったと納得した様子に、ホッと息をつく。
つい頭を撫でて、いつになく甘い声を出した自分。
そんな自分に、ふと我に返って気持ち悪くなった。
無かったことに、してしまいたかった。
そして、無かったことになった。
「あいつはクソガキじゃないか。忘れたのか」
自分に、言い聞かせるようにつぶやいた。
昼ご飯も晩ご飯も、晶が作った。
有無を言わさない雰囲気は、遥の体調を気遣っての行動のはずなのに、それを感じさせなかった。
そして一定の距離を保ったまま粛々と食べ進め、そのまま食事の時間は終わりを告げた。