女嫌いと男性恐怖症

「そういや、お前のがかけないとダメだったな」

 晶は眼鏡を外すと、遥にかけてやった。

 それなのに、ずり落ちそうになる眼鏡を見て笑った。

「ハハッ。どんだけチビなんだよ。この眼鏡だって「お客様はお顔が小さいので」と褒められといて、子ども用を勧められたんだぜ。」

 ククッと笑う晶に、遥もクスクス笑う。

「じゃアキだって、子どもってことじゃないですか」

 しまった。という顔をして、それを誤魔化すように頭をグリグリした。

 やり返しやがって。
 やっぱり、クソガキじゃないか。

「ったく。思ったことを言えとは言ったが、最近は言い過ぎなんじゃないのか?」

 呆れた声の晶に、遥は余計に笑う。

「アキって精巧なロボットって思えるほどに、見た目も立ち振る舞いも綺麗って思ってたのに、薄汚れたり、怒ったり、拗ねたり」

「おい。俺がいつ拗ねたよ」

 クスクス笑う遥に、おもちゃのロボットみたいなのはお前だろ?
 それにボロ雑巾だったのも。

 と、心の中で悪態をつく。

「ほら。今だって」

 そう可愛い笑顔で言った遥に、ドキッとする自分の胸を疑う。

 おいおい。こいつはクソガキだろうが。

 しかしその笑顔には、到底かなわない気がした。
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